「刑事責任」と「今後の補償」の行方
日立物流倉庫火災で被害甚大の製薬会社
元特捜部主任検事 前田恒彦
2022年2月15日号
火災の酷さを物語る物流センター
大阪市の日立物流西日本で発生した倉庫火災では、大量の医薬品が焼失し、製薬会社が甚大な被害を受けた。各社の物流拠点だったため、薬剤供給が滞り、調剤にまで影響を及ぼしたという。派遣社員として倉庫で勤務していた19歳の少年が逮捕されたが、問題はその刑事責任や今後の補償だ。
少年は「1階にあった運搬用の段ボール製パレットにライターで火を付けた」「同僚から叩かれたり蹴られたりしていたので、別の職場に変わりたかった」と供述しているという。従業員らは逃げて無事だったのだが、それでも少年には現住建造物等放火罪が成立する。倉庫のように住居として使用されていない建物でも、放火のときに人がいれば「現住」にあたるからだ。
しかし、煙を吸って軽傷を負った住民が1人いたものの、放火罪のほかに傷害...
火災の酷さを物語る物流センター
大阪市の日立物流西日本で発生した倉庫火災では、大量の医薬品が焼失し、製薬会社が甚大な被害を受けた。各社の物流拠点だったため、薬剤供給が滞り、調剤にまで影響を及ぼしたという。派遣社員として倉庫で勤務していた19歳の少年が逮捕されたが、問題はその刑事責任や今後の補償だ。
少年は「1階にあった運搬用の段ボール製パレットにライターで火を付けた」「同僚から叩かれたり蹴られたりしていたので、別の職場に変わりたかった」と供述しているという。従業員らは逃げて無事だったのだが、それでも少年には現住建造物等放火罪が成立する。倉庫のように住居として使用されていない建物でも、放火のときに人がいれば「現住」にあたるからだ。
しかし、煙を吸って軽傷を負った住民が1人いたものの、放火罪のほかに傷害罪
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