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臨床研究と患者の人権

第2シリーズ④ 同意なき臨床試験

ジャーナリスト 出河雅彦

2022年2月15日号

金沢地裁  金沢大学医学部附属病院(現・金沢大学附属病院)で、卵巣がん患者を対象に行われた抗がん剤の比較臨床試験の被験者となった女性(以下、Kさんと言う)の遺族が損害賠償を求めた訴訟は、前回までに述べたように、Kさんが被験者として登録されていたか否か、この比較臨床試験が被験者への説明と同意取得が必要な臨床試験であったか否かをめぐり、原告、被告双方の主張が真っ向から対立したが、提訴から約2年後、原告側が前面に押し出した追加の主張によって新たな展開をみせることになる。  その主張は、比較臨床試験の実施計画書(プロトコール)に記された「高用量の化学療法におけるG-CSFの臨床的有用性についても検討する」ことが臨床試験の主たる目的であり、卵巣がん患者をCAP療法(シスプラチン、シクロフォスファミド、アドリアマイシンの3種類の抗がん... 金沢地裁  金沢大学医学部附属病院(現・金沢大学附属病院)で、卵巣がん患者を対象に行われた抗がん剤の比較臨床試験の被験者となった女性(以下、Kさんと言う)の遺族が損害賠償を求めた訴訟は、前回までに述べたように、Kさんが被験者として登録されていたか否か、この比較臨床試験が被験者への説明と同意取得が必要な臨床試験であったか否かをめぐり、原告、被告双方の主張が真っ向から対立したが、提訴から約2年後、原告側が前面に押し出した追加の主張によって新たな展開をみせることになる。  その主張は、比較臨床試験の実施計画書(プロトコール)に記された「高用量の化学療法におけるG-CSFの臨床的有用性についても検討する」ことが臨床試験の主たる目的であり、卵巣がん患者をCAP療法(シスプラチン、シクロフォスファミド、アドリアマイシンの3種類の抗がん剤を

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