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臨床研究と患者の人権

第2シリーズ⑥ 同意なき臨床試験

ジャーナリスト 出河雅彦

2022年3月15日号

金沢大学  金沢大学医学部附属病院(現・金沢大学附属病院)で、卵巣がん患者を対象に行われた抗がん剤の比較臨床試験の被験者となった女性(以下、Kさんと言う)の遺族が損害賠償を求めた訴訟で、金沢地裁(井戸謙一裁判長)が医師の患者に対する説明義務違反を認め、被告の国に慰謝料などとして165万円の支払いを命じる判決を出したことを不服として、国は名古屋高裁金沢支部に控訴した。  控訴から3ヵ月後の2003年6月10日付「控訴理由書」は金沢地裁判決について、クリニカルトライアルの性格を正確に理解しないまま、Kさんが症例登録されたか否かを認定しようとしたため証拠の評価を誤った、と批判した。クリニカルトライアルという「他事目的」がKさんの具体的な治療につながったのだから、クリニカルトライアルについてのインフォームド・コンセントが必要だったと... 金沢大学  金沢大学医学部附属病院(現・金沢大学附属病院)で、卵巣がん患者を対象に行われた抗がん剤の比較臨床試験の被験者となった女性(以下、Kさんと言う)の遺族が損害賠償を求めた訴訟で、金沢地裁(井戸謙一裁判長)が医師の患者に対する説明義務違反を認め、被告の国に慰謝料などとして165万円の支払いを命じる判決を出したことを不服として、国は名古屋高裁金沢支部に控訴した。  控訴から3ヵ月後の2003年6月10日付「控訴理由書」は金沢地裁判決について、クリニカルトライアルの性格を正確に理解しないまま、Kさんが症例登録されたか否かを認定しようとしたため証拠の評価を誤った、と批判した。クリニカルトライアルという「他事目的」がKさんの具体的な治療につながったのだから、クリニカルトライアルについてのインフォームド・コンセントが必要だったとの判

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