医薬経済オンライン

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間違いだらけのHTA

価値に基づく価格・定量化の「罠」

第82回

横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中

2022年5月1日号

 多面的な価値「オカネとQALY(質調整生存年)では測り切れない価値」をどのように意思決定に組み込むか。薬の価値まわりで最近話題になっているのが、「価値に基づいた価格(Value-Based Price)」である。現行の薬価制度全体、あるいは原価計算制度に置き換わるものとして、さまざまな方面からの提案がある。  筆者が取材などを受ける際に、壁になるのは原価計算方式の表面的な「わかりやすさ」だ。研究開発・製造コストを足し込んで、想定患者数で割り算して価格を決めるという論理は、初見の人には非常に納得のいくシステムに見える。  しかし、製品の買い手である患者にどのようなメリットがあるかや、イノベーションを促進する要素などは、補正加算部分で考慮される余地はあるものの、根幹部分では蚊帳の外になる。医薬品以外のモノやサービスは、スマートフォンであれ...  多面的な価値「オカネとQALY(質調整生存年)では測り切れない価値」をどのように意思決定に組み込むか。薬の価値まわりで最近話題になっているのが、「価値に基づいた価格(Value-Based Price)」である。現行の薬価制度全体、あるいは原価計算制度に置き換わるものとして、さまざまな方面からの提案がある。  筆者が取材などを受ける際に、壁になるのは原価計算方式の表面的な「わかりやすさ」だ。研究開発・製造コストを足し込んで、想定患者数で割り算して価格を決めるという論理は、初見の人には非常に納得のいくシステムに見える。  しかし、製品の買い手である患者にどのようなメリットがあるかや、イノベーションを促進する要素などは、補正加算部分で考慮される余地はあるものの、根幹部分では蚊帳の外になる。医薬品以外のモノやサービスは、スマートフォンであれ、

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