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間違いだらけのHTA

「予防神話再び」……予防は効率的なのか?

第83回

横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中

2022年6月1日号

 治療は高額、予防は低額、だから予防が効率的のような予防神話的議論は、いまだによく見かける。しかし、予防のメリットが発生するのは、「予防しなければ疾患にかかっていた。予防したのでかからずに済んだ」人に限定される。罹患率の低い疾患に対して広く予防介入を実施すると、「予防してもしなくても、疾患にはかからなかった」人が多くなる分、予防の効率は落ちる。  予防介入の効率性を評価する際には、 ①予防介入自体の効果 ②ターゲットとする疾病の重篤度 ③ターゲットとする疾病の有病率  のすべてを考慮する必要があるが、③の有病率に関する議論が置き去りにされることが少なくない。だが有病率を考慮しなければ、本来の意味での「予防の費用対効果」は測定できない。有病率が極めて」小さい疾患に対する予防を全員に行うと、大多数は「予防をし...  治療は高額、予防は低額、だから予防が効率的のような予防神話的議論は、いまだによく見かける。しかし、予防のメリットが発生するのは、「予防しなければ疾患にかかっていた。予防したのでかからずに済んだ」人に限定される。罹患率の低い疾患に対して広く予防介入を実施すると、「予防してもしなくても、疾患にはかからなかった」人が多くなる分、予防の効率は落ちる。  予防介入の効率性を評価する際には、 ①予防介入自体の効果 ②ターゲットとする疾病の重篤度 ③ターゲットとする疾病の有病率  のすべてを考慮する必要があるが、③の有病率に関する議論が置き去りにされることが少なくない。だが有病率を考慮しなければ、本来の意味での「予防の費用対効果」は測定できない。有病率が極めて」小さい疾患に対する予防を全員に行うと、大多数は「予防をして

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