技術革新と製薬企業の明日
スピンラザ「適応拡大」の意義
第141回 症状第一主義を打破せよ
宮田総研代表取締役 宮田満
2022年7月15日号
無症状の患者に対する「スピンラザ」の予防的投薬が、今年3月28日に日本で認められた。臨床症状改善にあくまでも拘泥して新薬の許認可を行ってきた厚生労働省のこれまでの姿勢を転換した。希少疾患に対する小さな一歩だ。無症状や極めて軽症の患者に長期間、予防投与する必要がある、アルツハイマー病新薬の市場にも大きな影響を与える可能性がある。
日本の医療や医薬行政の陋習に症状第一主義(臨床第一主義)がある。新薬は患者の症状が改善して初めて価値があるという信念だ。ゴリゴリに固まったこの考えに阻まれて、認可がなかなか下りない薬の屍は累々と存在する。直近の例では、新型コロナウイルス治療薬に対する「アビガン」(RNAポリメラーゼ阻害剤)や「S-217622」(新型コロナのメイン・プロテアーゼ阻害剤)だ。両者は、患者の体内でのウイルスの増殖を抑制するために、血中...
無症状の患者に対する「スピンラザ」の予防的投薬が、今年3月28日に日本で認められた。臨床症状改善にあくまでも拘泥して新薬の許認可を行ってきた厚生労働省のこれまでの姿勢を転換した。希少疾患に対する小さな一歩だ。無症状や極めて軽症の患者に長期間、予防投与する必要がある、アルツハイマー病新薬の市場にも大きな影響を与える可能性がある。
日本の医療や医薬行政の陋習に症状第一主義(臨床第一主義)がある。新薬は患者の症状が改善して初めて価値があるという信念だ。ゴリゴリに固まったこの考えに阻まれて、認可がなかなか下りない薬の屍は累々と存在する。直近の例では、新型コロナウイルス治療薬に対する「アビガン」(RNAポリメラーゼ阻害剤)や「S-217622」(新型コロナのメイン・プロテアーゼ阻害剤)だ。両者は、患者の体内でのウイルスの増殖を抑制するために、血中の
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