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家計簿目線の医療経済 コスパ患者学

DPP-4阻害薬

第2回

黒澤 恵

2022年8月1日号

 治療効率の指標であるNNT(1人で奏効するまで必要と考えられる治療者数)と「コスト」から、薬剤治療の効率を見直す「コスパ患者学」——。今回は糖尿病治療薬、なかでも日本で汎用されているDPP-4阻害薬を取り上げよう。「低血糖リスクが低い」など、臨床現場からは好意的な声が多く聞かれる。  さて日本の「糖尿病診療ガイドライン2019」は、「糖尿病治療の目標」を、「高血糖に起因する代謝異常」の改善と「糖尿病に特徴的な合併症、及び糖尿病に起こりやすい併発症の発症、増悪」の防止としている。「血糖値を下げる」だけでなく、「糖尿病で発症リスクの増加する疾患の予防」も重要だということだ。そのような観点で見たとき、このDPP-4阻害薬はどれほど有効だろうか。  糖尿病の合併症と言えばかつて、網膜症や腎症、神経症などの「細小血管症」が注目されていた。しか...  治療効率の指標であるNNT(1人で奏効するまで必要と考えられる治療者数)と「コスト」から、薬剤治療の効率を見直す「コスパ患者学」——。今回は糖尿病治療薬、なかでも日本で汎用されているDPP-4阻害薬を取り上げよう。「低血糖リスクが低い」など、臨床現場からは好意的な声が多く聞かれる。  さて日本の「糖尿病診療ガイドライン2019」は、「糖尿病治療の目標」を、「高血糖に起因する代謝異常」の改善と「糖尿病に特徴的な合併症、及び糖尿病に起こりやすい併発症の発症、増悪」の防止としている。「血糖値を下げる」だけでなく、「糖尿病で発症リスクの増加する疾患の予防」も重要だということだ。そのような観点で見たとき、このDPP-4阻害薬はどれほど有効だろうか。  糖尿病の合併症と言えばかつて、網膜症や腎症、神経症などの「細小血管症」が注目されていた。しかし近

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