リーダーのための読書論
田沼意次と松平定信との壮絶な争いの陰の仕掛け人
第25回
イーピーメディカル 榎戸誠
2009年4月1日号
一人の著者によって長年に亘り書き継がれてきた『逆説の日本史』は、歴史の通説に異論を唱えるその姿勢が人気のシリーズであるが、『逆説の日本史(第15巻)――近世改革編 官僚政治と吉宗の謎』(井沢元彦著、小学館)には驚くべきことが書かれている。 「一昔前までは田沼意次といえば『希代のワル』『諸悪の根源』『悪徳政治家の象徴』『賄賂の帝王』として、一般には認識されていた」が、不倶戴天の敵・松平定信の保守的政権と比較して、田沼政権は革新的政権であったという肯定的な評価が定着しつつあるというのだ。これは他の研究者たちも述べていることなので、さほど驚くには当たらないが、意次と定信との血みどろの争いの陰でうまく立ち回った人物、いや、そう仕向けた権謀術数の黒幕がいたというのだ。 井沢にこの黒幕の存在を教えたのは、郷土史家の手に成る『田沼意次――その虚実』(後...
一人の著者によって長年に亘り書き継がれてきた『逆説の日本史』は、歴史の通説に異論を唱えるその姿勢が人気のシリーズであるが、『逆説の日本史(第15巻)――近世改革編 官僚政治と吉宗の謎』(井沢元彦著、小学館)には驚くべきことが書かれている。 「一昔前までは田沼意次といえば『希代のワル』『諸悪の根源』『悪徳政治家の象徴』『賄賂の帝王』として、一般には認識されていた」が、不倶戴天の敵・松平定信の保守的政権と比較して、田沼政権は革新的政権であったという肯定的な評価が定着しつつあるというのだ。これは他の研究者たちも述べていることなので、さほど驚くには当たらないが、意次と定信との血みどろの争いの陰でうまく立ち回った人物、いや、そう仕向けた権謀術数の黒幕がいたというのだ。 井沢にこの黒幕の存在を教えたのは、郷土史家の手に成る『田沼意次――その虚実』(後藤一
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