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臨床研究と患者の人権

第3シリーズ⑧ 倫理指針逸脱した先進医療

ジャーナリスト 出河雅彦

2022年9月1日号

 前回に引き続き、金沢大学病院が先進医療制度から逸脱してカフェイン併用化学療法を行っていた問題をめぐる診療報酬の返還について述べる。 金沢大学の言い分  2014年10月23日、金沢大学の担当者が東海北陸厚生局石川事務所を訪れて、診療報酬の返還についての基本的な考え方を説明した。その内容を記した、同局石川事務所長から東海北陸厚生局医療課長宛てのメールによると、金沢大学は、 ①先進医療からの逸脱とされた症例も、臨床試験としての側面は欠落していたが、治療としては、先進医療制度で承認された治療と同様に適切な治療を行った ②2008年4月の制度改正前は、治療という側面が主であったが、制度改正により、臨床試験として明確にされたものであり、臨床試験としての側面が欠落したかたちで実施したこと自体が直ちに非倫...  前回に引き続き、金沢大学病院が先進医療制度から逸脱してカフェイン併用化学療法を行っていた問題をめぐる診療報酬の返還について述べる。 金沢大学の言い分  2014年10月23日、金沢大学の担当者が東海北陸厚生局石川事務所を訪れて、診療報酬の返還についての基本的な考え方を説明した。その内容を記した、同局石川事務所長から東海北陸厚生局医療課長宛てのメールによると、金沢大学は、 ①先進医療からの逸脱とされた症例も、臨床試験としての側面は欠落していたが、治療としては、先進医療制度で承認された治療と同様に適切な治療を行った ②2008年4月の制度改正前は、治療という側面が主であったが、制度改正により、臨床試験として明確にされたものであり、臨床試験としての側面が欠落したかたちで実施したこと自体が直ちに非倫理的

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