家計簿目線の医療経済 コスパ患者学
高齢者に対する厳格降圧(約3年半NNT:167人)
第4回
黒澤 恵
2022年9月1日号
「NNT」(1人で奏効するまでに必要な治療者数)と「コスト」から治療のコスパを検証する「コスパ患者学」——。今回は高齢者への降圧治療を取り上げよう。
19年に公表された日本の高血圧ガイドラインでは、「75歳未満」、かつ「自力で外来通院可能」であれば、65歳以上でも原則として「130/80㎜Hg未満」を降圧目標として推奨している(①)。実はガイドライン作成時、この目標値を裏打ちする確固たるエビデンスはなかった。しかし今年に入り、 “STEP”というランダム化試験が発表され(②)、「130/80㎜Hg未満」という降圧目標の妥当性がひとまず支持された。今回はそのデータから、「コスパ」を検討してみよう。
STEP試験に参加したのは、収縮期血圧「140〜190㎜Hg」または「降圧薬服用中」の60歳以上の中国住民(心疾患既往患者も含む)だ。平均年齢は66歳、収縮期血圧の平均...
「NNT」(1人で奏効するまでに必要な治療者数)と「コスト」から治療のコスパを検証する「コスパ患者学」——。今回は高齢者への降圧治療を取り上げよう。
19年に公表された日本の高血圧ガイドラインでは、「75歳未満」、かつ「自力で外来通院可能」であれば、65歳以上でも原則として「130/80㎜Hg未満」を降圧目標として推奨している(①)。実はガイドライン作成時、この目標値を裏打ちする確固たるエビデンスはなかった。しかし今年に入り、 “STEP”というランダム化試験が発表され(②)、「130/80㎜Hg未満」という降圧目標の妥当性がひとまず支持された。今回はそのデータから、「コスパ」を検討してみよう。
STEP試験に参加したのは、収縮期血圧「140〜190㎜Hg」または「降圧薬服用中」の60歳以上の中国住民(心疾患既往患者も含む)だ。平均年齢は66歳、収縮期血圧の平均値
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