医薬経済オンライン

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医療の流れを見極める

患者が増えれば国が儲かる論

Chapter 14

伊竜 忠志

2009年2月15日号

 「風が吹けば桶屋が儲かる」。この諺は、江戸時代の浮世草子「世間学者気質」(1768年)が初出とされる。桶とは「棺桶」のことで、風が吹いて町が延焼すると、焼死者が増えるので棺桶の需要が高まるというわけだ。「ドミノ理論的」な考え方が含まれているものの、個々の因果関係について、実際にどれほどの確率があるのか検証されたことはない。ただ、経済学でも、ある主体の支出がさまざまなプロセスを経て何倍もの支出になる乗数効果や、投資が投資を生む波及効果のたとえとして引用される場合がある。 根拠のない医療費亡国論  「医療費が増えれば日本が滅ぶ」という厚生労働省の諺も、確率が検証されたことがないのに金言扱いされている。今から26年前(83年)、日本経済がバブル局面へ移行しようとする浮かれた状況のなかで、「医療費亡国論」を主張したのは、...  「風が吹けば桶屋が儲かる」。この諺は、江戸時代の浮世草子「世間学者気質」(1768年)が初出とされる。桶とは「棺桶」のことで、風が吹いて町が延焼すると、焼死者が増えるので棺桶の需要が高まるというわけだ。「ドミノ理論的」な考え方が含まれているものの、個々の因果関係について、実際にどれほどの確率があるのか検証されたことはない。ただ、経済学でも、ある主体の支出がさまざまなプロセスを経て何倍もの支出になる乗数効果や、投資が投資を生む波及効果のたとえとして引用される場合がある。 根拠のない医療費亡国論  「医療費が増えれば日本が滅ぶ」という厚生労働省の諺も、確率が検証されたことがないのに金言扱いされている。今から26年前(83年)、日本経済がバブル局面へ移行しようとする浮かれた状況のなかで、「医療費亡国論」を主張したのは、旧厚

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