医薬経済オンライン

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家計簿目線の医療経済 コスパ患者学

糖尿病への積極降圧(NNT:91、NNH:50)

第5回

黒澤 恵

2022年9月15日号

 治療の「NNT」(効果が1人で得られるまでに必要な治療者数)と「薬剤費」から治療の費用対効果を考える「コスパ患者学」。今回は「糖尿病患者に対する降圧治療」を取り上げよう。 日本では糖尿病患者の血圧目標値として「130/80㎜Hg未満」が推奨されている。この、大きな根拠となったのが、“ACCORD-BP”と呼ばれる臨床試験だ(①)。収縮期血圧が「130〜180㎜Hg」だった北米の2型糖尿病患者を、収縮期目標血圧「120㎜Hg未満」とする「積極」降圧群と「140㎜Hg未満」の「通常」降圧群にランダムに分け、およそ5年間観察した。 その結果、主要評価項目(*)である「重篤な心血管系急患」発生リスクは、両群間で差を認めなかった。2型糖尿病に対する「積極」降圧のメリットは、確認されなかったのだ。 しかし、細かく見ると、「脳卒中」だけは、「積極」降圧群で有意に減少していた。そして、日本のガ...  治療の「NNT」(効果が1人で得られるまでに必要な治療者数)と「薬剤費」から治療の費用対効果を考える「コスパ患者学」。今回は「糖尿病患者に対する降圧治療」を取り上げよう。 日本では糖尿病患者の血圧目標値として「130/80㎜Hg未満」が推奨されている。この、大きな根拠となったのが、“ACCORD-BP”と呼ばれる臨床試験だ(①)。収縮期血圧が「130〜180㎜Hg」だった北米の2型糖尿病患者を、収縮期目標血圧「120㎜Hg未満」とする「積極」降圧群と「140㎜Hg未満」の「通常」降圧群にランダムに分け、およそ5年間観察した。 その結果、主要評価項目(*)である「重篤な心血管系急患」発生リスクは、両群間で差を認めなかった。2型糖尿病に対する「積極」降圧のメリットは、確認されなかったのだ。 しかし、細かく見ると、「脳卒中」だけは、「積極」降圧群で有意に減少していた。そして、日本のガイド

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