日々諸事遊考㊽ | 医薬経済オンライン

時流遡航

日々諸事遊考㊽

第288回　─老いた身が小ドライブ旅行に托す想い⑥─

本田成親

2022年10月15日号

曽我兄弟の父親・河津祐泰が殺された場所にある血塚　翌日の午前中、大脇君と鎌田君は、日帰りで東京からやってくるゴルフ仲間と合流し近くのカントリークラブでゴルフをやるとのことで、互いに別れを告げ合い私だけが独り別荘に残りました。そして、私は帰宅準備に取り掛かり、正午過ぎに大脇荘を辞したような次第でした。ところがその直後、恒陽台の坂道を下る途中で「血塚」と記された小さな案内板が目に留まったのです。その何とも生々しい呼称の由縁を知りたくなった私は、すぐさま案内板の差す脇道に入り、車が行き止まりになるところまで進むと、草むした路上に降り立ちました。来訪者などほとんどないだろうと想われるその地で目の当たりにしたのは、何と目下放映中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも深く関わる史跡のひとつだったのです。　静寂な樹林に囲まれた... 曽我兄弟の父親・河津祐泰が殺された場所にある血塚　翌日の午前中、大脇君と鎌田君は、日帰りで東京からやってくるゴルフ仲間と合流し近くのカントリークラブでゴルフをやるとのことで、互いに別れを告げ合い私だけが独り別荘に残りました。そして、私は帰宅準備に取り掛かり、正午過ぎに大脇荘を辞したような次第でした。ところがその直後、恒陽台の坂道を下る途中で「血塚」と記された小さな案内板が目に留まったのです。その何とも生々しい呼称の由縁を知りたくなった私は、すぐさま案内板の差す脇道に入り、車が行き止まりになるところまで進むと、草むした路上に降り立ちました。来訪者などほとんどないだろうと想われるその地で目の当たりにしたのは、何と目下放映中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも深く関わる史跡のひとつだったのです。　静寂な樹林に囲まれた細い

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