Dear Tomorrow 新しいヘルスケアマーケティング
医師と患者の求めるゴールが違う慢性疼痛治療
第110回 長引く痛みは患者を狂わせるが、千差万別で難しい
ジョージメイスン大学大学院(バージニア州)パブリックヘルス専攻 堀玲子
2022年10月15日号
米国オクラホマ州で、整形外科の手術を受けた患者が術後も続く痛みのために主治医を恨み、その果てに銃殺してしまったという悲しい出来事があった。長引く痛みは人の心を狂わせてしまう。
調剤薬局で処方箋を扱っていると「痛み」に関するさまざまな薬物療法に出会う。侵襲性や神経障害による痛み以外の「第三の痛み」として日本疼痛学会などが「痛覚変調性疼痛」という新しい分類を決めた。心理的な要因が大きく関係し、疲労や睡眠不足などが痛みを長引かせ悪化させる。残念だが、この痛みの治療薬や医療者の認知、理解も深くない(「リリカ」の線維筋痛症適応などごくわずか)。
患者の痛みへの反応も多様だ。急性期には「ロキソニン」(NSAIDs)が王道のように使用されており、患者から「10年もロキソニンを服用しているが大丈夫か」と聞かれることもある。また「ボル...
米国オクラホマ州で、整形外科の手術を受けた患者が術後も続く痛みのために主治医を恨み、その果てに銃殺してしまったという悲しい出来事があった。長引く痛みは人の心を狂わせてしまう。
調剤薬局で処方箋を扱っていると「痛み」に関するさまざまな薬物療法に出会う。侵襲性や神経障害による痛み以外の「第三の痛み」として日本疼痛学会などが「痛覚変調性疼痛」という新しい分類を決めた。心理的な要因が大きく関係し、疲労や睡眠不足などが痛みを長引かせ悪化させる。残念だが、この痛みの治療薬や医療者の認知、理解も深くない(「リリカ」の線維筋痛症適応などごくわずか)。
患者の痛みへの反応も多様だ。急性期には「ロキソニン」(NSAIDs)が王道のように使用されており、患者から「10年もロキソニンを服用しているが大丈夫か」と聞かれることもある。また「ボルタレ
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