医薬経済オンライン

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間違いだらけのHTA

続「効率性フロンティア」をめぐる幻想

第89回

横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中

2022年12月1日号

 前回(11月1日号)に引き続き、ドイツのHTA機関「IQWIG」が用いる「予定であった」効率性フロンティアの話題を紹介しよう。「予定であった」と注釈を付けたのは、効率的フロンティアの使用以前の問題で、ドイツで費用対効果評価の結果を用いて価格が調整されたケースがそもそも存在しないことによる。「価格調整に使用しているドイツでは、効率性フロンティアを使って……」なる主張を聞くのみだと見逃されがちなポイントではあるが、英国NICEやフランスHASのように、使用実績が十二分にある国・機関と並列して議論するのは、もともと問題があることはまず理解しておきたい。  筆者は「HTA(医療技術評価)導入時期尚早論」「QALY(質調整生存年)欠陥商品論」などが跋扈していた12〜15年付近にも、理論的基盤のみを「つまみ食い」してドイツの手法を推す動きに対して反論を続けてきた。10...  前回(11月1日号)に引き続き、ドイツのHTA機関「IQWIG」が用いる「予定であった」効率性フロンティアの話題を紹介しよう。「予定であった」と注釈を付けたのは、効率的フロンティアの使用以前の問題で、ドイツで費用対効果評価の結果を用いて価格が調整されたケースがそもそも存在しないことによる。「価格調整に使用しているドイツでは、効率性フロンティアを使って……」なる主張を聞くのみだと見逃されがちなポイントではあるが、英国NICEやフランスHASのように、使用実績が十二分にある国・機関と並列して議論するのは、もともと問題があることはまず理解しておきたい。  筆者は「HTA(医療技術評価)導入時期尚早論」「QALY(質調整生存年)欠陥商品論」などが跋扈していた12〜15年付近にも、理論的基盤のみを「つまみ食い」してドイツの手法を推す動きに対して反論を続けてきた。10年近

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