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医工連携

がん免疫を強く賦活するDDS

医工連携の実践者80 弓場英司 大阪公立大学准教授

2022年12月1日号

 その登場によって、がん治療を一変させた抗PD-1抗体(「オプジーボ」や「キイトルーダ」)は、効く場合には驚くほど効く一方、残念ながら効く患者の割合が2~3割にとどまる。その原因は、がん細胞を攻撃する直前で止まっている細胞傷害性T細胞(CTL)のストッパーたるチェックポイント分子を妨害するという作用機序ゆえ、がんを攻撃するCTLが患者の体内で生じていなければ、そもそも効果を発揮しようもないためと考えられている。  読者の多くには釈迦に説法だろうが、がんを攻撃するCTLが生じるまでには、自然免疫が活性化した後、がん抗原を樹状細胞などの抗原提示細胞が取り込み、その抗原を認識できるCD8陽性のナイーブT細胞に対して提示しながら共刺激するという一連の流れを辿る。つまり樹状細胞の段階で抗原の取り込みや提示の効率を上げることができれば、CTLも生じやすくなる理...  その登場によって、がん治療を一変させた抗PD-1抗体(「オプジーボ」や「キイトルーダ」)は、効く場合には驚くほど効く一方、残念ながら効く患者の割合が2~3割にとどまる。その原因は、がん細胞を攻撃する直前で止まっている細胞傷害性T細胞(CTL)のストッパーたるチェックポイント分子を妨害するという作用機序ゆえ、がんを攻撃するCTLが患者の体内で生じていなければ、そもそも効果を発揮しようもないためと考えられている。  読者の多くには釈迦に説法だろうが、がんを攻撃するCTLが生じるまでには、自然免疫が活性化した後、がん抗原を樹状細胞などの抗原提示細胞が取り込み、その抗原を認識できるCD8陽性のナイーブT細胞に対して提示しながら共刺激するという一連の流れを辿る。つまり樹状細胞の段階で抗原の取り込みや提示の効率を上げることができれば、CTLも生じやすくなる理屈で

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