初めて手に入れた「使える核兵器」

平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜

初めて手に入れた「使える核兵器」

第161回

埼玉県国民保護協議会委員　照井資規

2022年12月1日号

　戦略核兵器は1回しか使えなかったが、「戦術核兵器」の実用化により、人類は初めて戦争で使える核兵器を手にすることができた。ロシアによるウクライナへの侵攻で、戦術核兵器のうち中性子爆弾を使うのなら、冬が適する季節だ。積雪（水分）は中性子線を遮蔽するため、汚染を最小限にできる。　凄まじい破壊力がある核兵器だが、実際の役に立つか否かの尺度は、軍隊と一般人では異なるものだ。戦争では物よりも人に対して効果があるかが重視される。兵器は製造するか購入するかで賄えるが、人は育成するために時間と費用がかかるためだ。　この面では、従来の戦略核兵器は破壊力と汚染が過剰である一方、戦車や装甲車内、戦艦の中の人員は直撃を免れれば任務遂行に影響がないことが問題となった。逆に言えば、物は破壊できなくとも、中の人員さえ殺傷できれば兵器として実用... 　戦略核兵器は1回しか使えなかったが、「戦術核兵器」の実用化により、人類は初めて戦争で使える核兵器を手にすることができた。ロシアによるウクライナへの侵攻で、戦術核兵器のうち中性子爆弾を使うのなら、冬が適する季節だ。積雪（水分）は中性子線を遮蔽するため、汚染を最小限にできる。　凄まじい破壊力がある核兵器だが、実際の役に立つか否かの尺度は、軍隊と一般人では異なるものだ。戦争では物よりも人に対して効果があるかが重視される。兵器は製造するか購入するかで賄えるが、人は育成するために時間と費用がかかるためだ。　この面では、従来の戦略核兵器は破壊力と汚染が過剰である一方、戦車や装甲車内、戦艦の中の人員は直撃を免れれば任務遂行に影響がないことが問題となった。逆に言えば、物は破壊できなくとも、中の人員さえ殺傷できれば兵器として実用性

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