人道支援のプロフェッション | 医薬経済オンライン

読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー

人道支援のプロフェッション

第207回

2022年12月15日号

野戦のドクタートニー・レドモンド著／不二淑子訳ハーパーコリンズ・ジャパン 2022年9月刊　サブタイトルは、「戦争、災害、感染症と闘い続けた不屈の医師の全記録」。本を開く前から盛り沢山の内容を想定できる。読後の印象は、利他主義の全能感と人道主義批判への反発・抵抗、それらへのシニシズムに対する剥き出しの嫌悪だ。どこか英国スタンダードの匂いが強いのも気にならないことはないが、その情熱の温度の高さに圧倒されたというのも本音。　それに、欧州から遠く離れた、しかも70年代以降、それなりに至極当然のような平和があり、戦争という血生臭さを嗅いだこともない日本にいて、固有名詞にしか記憶がない旧ユーゴスラビア地域の長い紛争状態での、「野戦医療」「人道医療支援」を往来する著者の心身に、肩で息をするような読書への「入り込み」は久々の... 野戦のドクタートニー・レドモンド著／不二淑子訳ハーパーコリンズ・ジャパン 2022年9月刊　サブタイトルは、「戦争、災害、感染症と闘い続けた不屈の医師の全記録」。本を開く前から盛り沢山の内容を想定できる。読後の印象は、利他主義の全能感と人道主義批判への反発・抵抗、それらへのシニシズムに対する剥き出しの嫌悪だ。どこか英国スタンダードの匂いが強いのも気にならないことはないが、その情熱の温度の高さに圧倒されたというのも本音。　それに、欧州から遠く離れた、しかも70年代以降、それなりに至極当然のような平和があり、戦争という血生臭さを嗅いだこともない日本にいて、固有名詞にしか記憶がない旧ユーゴスラビア地域の長い紛争状態での、「野戦医療」「人道医療支援」を往来する著者の心身に、肩で息をするような読書への「入り込み」は久々の記憶

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