検証 医薬品と[特許]
オプジーボ特許紛争の深淵⑤
第11回
元大阪大学大学院 経済学研究科講師 西口博之
2022年12月15日号
オプジーボ特許紛争のポイントと言うべき「誰が真の発明者か?」については、日本の知財高裁と米国巡回控訴裁判所(CAFC)との間に大きな乖離が生じている。
審決の要旨は次のとおり。
①ダナ・ファーバーがん研究所のゴードン・フリーマン博士は日本では共同発明者に認定されない
②その結果として、特許法第38条(共同出願違反)は成立しない
一方、フリーマン博士が提起した審決取消訴訟について、日本の知財高裁がどのような対応を示すかが注目の的である。特許庁が、従来どおりの偏狭的な属地主義の考え方により、フリーマン博士の日本における共同発明者適格性を中心とする審理を踏襲するとすれば、今後とも変革が必至とされる「属地主義の修正」の傾向から離れてしまう。結果、日本の研究者が日本での特許申請を敬遠する動きが強まり、...
オプジーボ特許紛争のポイントと言うべき「誰が真の発明者か?」については、日本の知財高裁と米国巡回控訴裁判所(CAFC)との間に大きな乖離が生じている。
審決の要旨は次のとおり。
①ダナ・ファーバーがん研究所のゴードン・フリーマン博士は日本では共同発明者に認定されない
②その結果として、特許法第38条(共同出願違反)は成立しない
一方、フリーマン博士が提起した審決取消訴訟について、日本の知財高裁がどのような対応を示すかが注目の的である。特許庁が、従来どおりの偏狭的な属地主義の考え方により、フリーマン博士の日本における共同発明者適格性を中心とする審理を踏襲するとすれば、今後とも変革が必至とされる「属地主義の修正」の傾向から離れてしまう。結果、日本の研究者が日本での特許申請を敬遠する動きが強まり、国益
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