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財界論

2度の大阪南北戦争

第29回 財界王座を巡る抗争(中)

茨城大学名誉教授 古賀純一郎

2023年2月15日号

 南北戦争といっても奴隷解放のためのリンカーン米大統領の戦いとは関係ない。“名門”大阪商工会議所のトップの座を巡り、関西財界が南と北に分かれて激突した“泥仕合”で、過去2度あった。投票で決着するから怪文書はもちろん票集めのため億単位の現ナマが飛び交ったのはかつての自民党総裁選を想起させる。流行作家による小説にもなった。  大商が設立されたのは東京商法会議所に遅れること5ヵ月の1878(明治11)年8月。薩摩藩出身の勤王の志士、“政商”でも知られる官界から転じた実業家五代友厚が大阪発展のために創設した。  なぜ南北戦争なのか。大阪市内の南半分、いわゆる“ミナミ”の中小企業の経営者が支持する財界人の集団(=南軍)と、同北部つまり“キタ”が拠点の住友系などの擁立する大企業群(=北軍)の激突となったからである。  南北戦争といっても奴隷解放のためのリンカーン米大統領の戦いとは関係ない。“名門”大阪商工会議所のトップの座を巡り、関西財界が南と北に分かれて激突した“泥仕合”で、過去2度あった。投票で決着するから怪文書はもちろん票集めのため億単位の現ナマが飛び交ったのはかつての自民党総裁選を想起させる。流行作家による小説にもなった。  大商が設立されたのは東京商法会議所に遅れること5ヵ月の1878(明治11)年8月。薩摩藩出身の勤王の志士、“政商”でも知られる官界から転じた実業家五代友厚が大阪発展のために創設した。  なぜ南北戦争なのか。大阪市内の南半分、いわゆる“ミナミ”の中小企業の経営者が支持する財界人の集団(=南軍)と、同北部つまり“キタ”が拠点の住友系などの擁立する大企業群(=北軍)の激突となったからである。

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