間違いだらけのHTA
レカネマブVBP・定量化の先にあるもの
第92回
横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中
2023年3月1日号
前回(2月1日号)紹介したアルツハイマー病(AD)治療薬としてエーザイ/米バイオジェンの「レカネマブ」の「価値に基づく価格(VBP)」に関する米国の臨床・経済評価研究所(ICER組織)とエーザイの推計は、さまざまな方面で話題を呼んでいる。VBPを考える際にレカネマブが格好の「練習問題」になるのは間違いない。しかし、VBPそのものの議論は特定の薬剤に限らず、薬価制度、とくに原価計算方式そのものを置き換える観点からなすべきものだ。
「つくった手間を反映した値付け」を行う原価計算は、表面的には合理的なシステムである。しかし、原価計算の発想は作り手ベースであり、買い手である患者、その先にある社会に対してどのような価値があるかの要素は、枝葉の部分(補正加算部分)でしか考慮できない。
レカネマブの2つの推計は、ともすれば抽象的な議論に終始し...
前回(2月1日号)紹介したアルツハイマー病(AD)治療薬としてエーザイ/米バイオジェンの「レカネマブ」の「価値に基づく価格(VBP)」に関する米国の臨床・経済評価研究所(ICER組織)とエーザイの推計は、さまざまな方面で話題を呼んでいる。VBPを考える際にレカネマブが格好の「練習問題」になるのは間違いない。しかし、VBPそのものの議論は特定の薬剤に限らず、薬価制度、とくに原価計算方式そのものを置き換える観点からなすべきものだ。
「つくった手間を反映した値付け」を行う原価計算は、表面的には合理的なシステムである。しかし、原価計算の発想は作り手ベースであり、買い手である患者、その先にある社会に対してどのような価値があるかの要素は、枝葉の部分(補正加算部分)でしか考慮できない。
レカネマブの2つの推計は、ともすれば抽象的な議論に終始してし
有料会員限定
会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください
【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)
ログイン
会員登録