医薬経済オンライン

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苛烈を極めた学会の「攻撃」、真実は患者が知っている

追悼・万波医師(下)

ノンフィクション・ライター 髙橋幸春

2023年4月1日号

 日本臓器移植ネットワークの成立によって直面したのが、移植に熱心な医師がいた地域、移植に取り組んできた病院ほど、相対的に移植件数が減ってしまうという皮肉な現実だ。  そうした状況を打開するため、万波誠医師と瀬戸内グループの医師たちによって、修復腎移植が進められた。がんに侵され、摘出、廃棄される腎臓を慢性腎不全の患者に移植したのだ。  しかし、黎明期の移植医はこう教育されてきた。 「がんにかかったドナーから提供された臓器を移植に用いるのは絶対に禁忌だ。レシピエントにがんが持ち込まれる可能性が極めて高い」  4センチ未満の小径腎がんの腎臓から、がんの部位を取り除いた腎臓を慢性腎不全の患者に、禁忌を破って移植したとして、日本移植学会は万波医師らを激しく非難した。厚生労働省の意向を受けて、移植学会をはじ...  日本臓器移植ネットワークの成立によって直面したのが、移植に熱心な医師がいた地域、移植に取り組んできた病院ほど、相対的に移植件数が減ってしまうという皮肉な現実だ。  そうした状況を打開するため、万波誠医師と瀬戸内グループの医師たちによって、修復腎移植が進められた。がんに侵され、摘出、廃棄される腎臓を慢性腎不全の患者に移植したのだ。  しかし、黎明期の移植医はこう教育されてきた。 「がんにかかったドナーから提供された臓器を移植に用いるのは絶対に禁忌だ。レシピエントにがんが持ち込まれる可能性が極めて高い」  4センチ未満の小径腎がんの腎臓から、がんの部位を取り除いた腎臓を慢性腎不全の患者に、禁忌を破って移植したとして、日本移植学会は万波医師らを激しく非難した。厚生労働省の意向を受けて、移植学会をはじめ

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