ＩＣＥＲ組織が「レカネマブ」で政策提言

間違いだらけのＨＴＡ

ＩＣＥＲ組織が「レカネマブ」で政策提言

第94回

横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学　五十嵐中

2023年5月1日号

　米国の臨床・経済評価研究所（ICER組織）は4月17日、エーザイと米バイオジェンのアルツハイマー病（AD）治療薬「レカネマブ」（商品名レケンビ）の評価に関する最終レポート（＊）を公表した。一定の基準を満たすベンチマーク価格の提示に加え、「policy recommendation」（政策提言）として保険者や企業など、さまざまなステークホルダーに対する提言がなされている。今回はこの内容を紹介しよう。　レポート内で使用されているモデルや、モデルに組み込まれた数値そのものは、昨年12月のドラフト版のものと同様である。　MCI（軽度認知障害）から重症ADまで進行するのに従って、表1に示したように、医療費や介助者のインフォーマルケア時間・施設入所割合は増加する。レカネマブの治療効果はMCIと軽度ADの患者の進行遅延効果（ハザード比0.69）として組み込まれ、中程度AD... 　米国の臨床・経済評価研究所（ICER組織）は4月17日、エーザイと米バイオジェンのアルツハイマー病（AD）治療薬「レカネマブ」（商品名レケンビ）の評価に関する最終レポート（＊）を公表した。一定の基準を満たすベンチマーク価格の提示に加え、「policy recommendation」（政策提言）として保険者や企業など、さまざまなステークホルダーに対する提言がなされている。今回はこの内容を紹介しよう。　レポート内で使用されているモデルや、モデルに組み込まれた数値そのものは、昨年12月のドラフト版のものと同様である。　MCI（軽度認知障害）から重症ADまで進行するのに従って、表1に示したように、医療費や介助者のインフォーマルケア時間・施設入所割合は増加する。レカネマブの治療効果はMCIと軽度ADの患者の進行遅延効果（ハザード比0.69）として組み込まれ、中程度AD以

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