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医政羅針盤

医療保険「二階建て」論の不毛

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2023年5月15日号

 再生医療などの医療技術の進歩や高額な新規薬剤の登場が相次ぐなか、それらを公的医療保険で賄うには「財源がない」として、民間医療保険を活用することで対応すべきとの主張がよく聞かれるようになっている。民間保険は現状でも任意に加入し、そのプランによっては公的保険の適用外の医療費もカバーできるが、民間保険の活用をより積極的に位置付け、公的保険と民間保険との言わば「二階建て」の制度設計を構想する考え方だと言える。  こうした議論は決して目新しいものではなく、医療費の増大が議論になる度に、繰り返し蒸し返されてきた。民間保険の活用には日本医師会が猛反対するとの印象があるが、実は、日医からも同様の提案が出たことがある。00年8月に発表された『2015年医療のグランドデザイン』に盛り込まれた「自立投資」の概念だ。  これは当時の坪井栄孝会長...  再生医療などの医療技術の進歩や高額な新規薬剤の登場が相次ぐなか、それらを公的医療保険で賄うには「財源がない」として、民間医療保険を活用することで対応すべきとの主張がよく聞かれるようになっている。民間保険は現状でも任意に加入し、そのプランによっては公的保険の適用外の医療費もカバーできるが、民間保険の活用をより積極的に位置付け、公的保険と民間保険との言わば「二階建て」の制度設計を構想する考え方だと言える。  こうした議論は決して目新しいものではなく、医療費の増大が議論になる度に、繰り返し蒸し返されてきた。民間保険の活用には日本医師会が猛反対するとの印象があるが、実は、日医からも同様の提案が出たことがある。00年8月に発表された『2015年医療のグランドデザイン』に盛り込まれた「自立投資」の概念だ。  これは当時の坪井栄孝会長が

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