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医工連携

ミトコンドリアへ薬を届ける

医工連携の実践者93 山田勇磨 北海道大学教授

2023年6月15日号

 私たちの細胞にエネルギーを供給してくれるミトコンドリアは、他にもアポトーシスの誘導制御やカルシウムシグナル調節のような生命維持に不可欠な活動を担っており、その機能低下や異常はアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患を代表とする多くの疾病と老化の原因になっていることがわかってきた。その一方で、ミトコンドリアの異常や機能低下を直接のターゲットとする薬は、まだ実用化されていない。  5月、この領域に大きな進展があった。アセトアミノフェン過剰摂取による肝障害モデルマウスに、コエンザイム(CO)Q10を封入したミトコンドリア標的型ナノカプセルを静脈注射したところ、対照群に比べて肝臓組織の壊死領域が大幅に少なくて済み、肝機能も顕著に良好だった、との論文が『Scientific Reports』誌に掲載されたのだ。  過剰なアセトアミノフェ...  私たちの細胞にエネルギーを供給してくれるミトコンドリアは、他にもアポトーシスの誘導制御やカルシウムシグナル調節のような生命維持に不可欠な活動を担っており、その機能低下や異常はアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患を代表とする多くの疾病と老化の原因になっていることがわかってきた。その一方で、ミトコンドリアの異常や機能低下を直接のターゲットとする薬は、まだ実用化されていない。  5月、この領域に大きな進展があった。アセトアミノフェン過剰摂取による肝障害モデルマウスに、コエンザイム(CO)Q10を封入したミトコンドリア標的型ナノカプセルを静脈注射したところ、対照群に比べて肝臓組織の壊死領域が大幅に少なくて済み、肝機能も顕著に良好だった、との論文が『Scientific Reports』誌に掲載されたのだ。  過剰なアセトアミノフェンは

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