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医政羅針盤

少子化対策で医療・介護費は「切り崩し」?

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2023年6月15日号

 岸田文雄首相が力を注ごうとしている少子化対策。最早手遅れの感が拭えないものの、国難ともいえる危機的状況にあり、待ったなしの重要課題であることには多くの人たちが同意するだろう。  少子化対策の議論は盛り上がりを見せながらも、先行きには不透明感が漂っている。どのような施策が具体的に必要なのか、それが果たして効果的なのかという点について、専門家の間でも、さまざまな意見が噴出していることに加えて、必要な財源をどのように確保するのか、一向にはっきりしないためである。  財源で紛糾するというのは、政策立案過程でよくあることだ。最近でも防衛費増額をめぐって、財源をいかに確保するのか、大きな議論となった。増税などで国民に負担を求めるのか、それとも負担増を回避するならば、国債を増発するのか、ということになる。しかし、こ...  岸田文雄首相が力を注ごうとしている少子化対策。最早手遅れの感が拭えないものの、国難ともいえる危機的状況にあり、待ったなしの重要課題であることには多くの人たちが同意するだろう。  少子化対策の議論は盛り上がりを見せながらも、先行きには不透明感が漂っている。どのような施策が具体的に必要なのか、それが果たして効果的なのかという点について、専門家の間でも、さまざまな意見が噴出していることに加えて、必要な財源をどのように確保するのか、一向にはっきりしないためである。  財源で紛糾するというのは、政策立案過程でよくあることだ。最近でも防衛費増額をめぐって、財源をいかに確保するのか、大きな議論となった。増税などで国民に負担を求めるのか、それとも負担増を回避するならば、国債を増発するのか、ということになる。しかし、ここ

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