家計簿目線の医療経済 コスパ患者学
ワルファリンではなくリバーロキサバン:予後に差なし。薬剤費は?
第23回
黒澤 恵
2023年7月1日号
今回も直接経口抗凝固薬(DOAC)を取り上げる。主として心房細動患者の脳塞栓症予防に使われる。従来用いられてきたワルファリンと異なり頻回の血液検査や用量調整を必要とせず、さらに相互作用のある食品も少ない。この使い勝手の良さからワルファリンを忌避していた心房細動患者での治療開始が見込まれ、治療患者割合の増加に伴う脳塞栓症減少が期待できると喧伝された。その見立ては実現したのだろうか。確かに日本における信頼性の高い心房細動レジストリであるFushimi AF研究では、DOACが汎用されるようになる以前の11〜13年に比べ14〜17年では、経口抗凝固療法(OAC)を受ける心房細動患者が増え、「脳卒中・塞栓症」は有意に減った。ただしOAC増加率は10%強、「脳卒中・塞栓症」減少幅も0.7%/年である(①)。
一方、同研究からは、DOACとワルファリン間に「脳卒中・塞栓症」「...
今回も直接経口抗凝固薬(DOAC)を取り上げる。主として心房細動患者の脳塞栓症予防に使われる。従来用いられてきたワルファリンと異なり頻回の血液検査や用量調整を必要とせず、さらに相互作用のある食品も少ない。この使い勝手の良さからワルファリンを忌避していた心房細動患者での治療開始が見込まれ、治療患者割合の増加に伴う脳塞栓症減少が期待できると喧伝された。その見立ては実現したのだろうか。確かに日本における信頼性の高い心房細動レジストリであるFushimi AF研究では、DOACが汎用されるようになる以前の11〜13年に比べ14〜17年では、経口抗凝固療法(OAC)を受ける心房細動患者が増え、「脳卒中・塞栓症」は有意に減った。ただしOAC増加率は10%強、「脳卒中・塞栓症」減少幅も0.7%/年である(①)。
一方、同研究からは、DOACとワルファリン間に「脳卒中・塞栓症」「大
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