医薬経済オンライン

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読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー

がん共存療法で明日につなぐ

第221回

大西一幸

2023年7月15日号

がんを悪化させない試み ステージ4の緩和ケア医が実践する 山崎章郎 2022年6月刊 新潮選書  医師に「がんで死にたいか、認知症で死にたいか」を訊くと、ほぼ全員が「がん」と答えるという話を聞いたことがある。医師でも何でもない私が類推するに、医師には最期まで意識が健常でありたいという願望が強いのだと思う。がんと認知症を対比すると、がんは最期まで人間として生きられるというような思いがある。少しだが、こういう考え方に医師が偏っていることは当然とも思える。つまり、認知症になったら「人間ではなくなる」という率直な思いが流れていることが、何となくわかるのだ。さらに、こうした医師の姿勢には、「認知症」は抗えない疾患だとの認識が強いのもわかる。対して「がん」は苦痛だが、最期まで自分を精神的に保つ以外に、治療やケアへのアプローチに、その患者... がんを悪化させない試み ステージ4の緩和ケア医が実践する 山崎章郎 2022年6月刊 新潮選書  医師に「がんで死にたいか、認知症で死にたいか」を訊くと、ほぼ全員が「がん」と答えるという話を聞いたことがある。医師でも何でもない私が類推するに、医師には最期まで意識が健常でありたいという願望が強いのだと思う。がんと認知症を対比すると、がんは最期まで人間として生きられるというような思いがある。少しだが、こういう考え方に医師が偏っていることは当然とも思える。つまり、認知症になったら「人間ではなくなる」という率直な思いが流れていることが、何となくわかるのだ。さらに、こうした医師の姿勢には、「認知症」は抗えない疾患だとの認識が強いのもわかる。対して「がん」は苦痛だが、最期まで自分を精神的に保つ以外に、治療やケアへのアプローチに、その患者とし

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