読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー
社会的影響を身体化する少女たち
第222回
大西一幸
2023年8月1日号
眠りつづける少女たち
脳神経科医は〈謎の病〉を調査する旅に出た
スザンヌ・オサリバン/高橋洋訳
紀伊国屋書店/2023年5月刊
C♯の音をタイトルにしたSF『ツィス』(広瀬正)は、若い頃に読んだ小説のなかでは忘れることはない鮮烈な印象をもたらした一冊だ。これを契機に広瀬正を知り、彼のSFはほとんど読んだ。ツィスは、あるとき、関東の一部での音が聞こえだして、それは人々に徐々に伝播し、不快な「ノイズ」となって首都圏を音響災害に巻き込んでしまうという壮大なスケールのファンタジーだ。まるでラヴェルの「ボレロ」を聴いているような雰囲気に読者は巻き込まれ、追い込まれ、先を読みたくなる。
よく考えれば、そうした災害の起こる可能性は考えにくく、科学的には検証しにくいはずだが、これがある種の同調圧力の象徴だと考えれば、その怖さは倍加する...
眠りつづける少女たち
脳神経科医は〈謎の病〉を調査する旅に出た
スザンヌ・オサリバン/高橋洋訳
紀伊国屋書店/2023年5月刊
C♯の音をタイトルにしたSF『ツィス』(広瀬正)は、若い頃に読んだ小説のなかでは忘れることはない鮮烈な印象をもたらした一冊だ。これを契機に広瀬正を知り、彼のSFはほとんど読んだ。ツィスは、あるとき、関東の一部での音が聞こえだして、それは人々に徐々に伝播し、不快な「ノイズ」となって首都圏を音響災害に巻き込んでしまうという壮大なスケールのファンタジーだ。まるでラヴェルの「ボレロ」を聴いているような雰囲気に読者は巻き込まれ、追い込まれ、先を読みたくなる。
よく考えれば、そうした災害の起こる可能性は考えにくく、科学的には検証しにくいはずだが、これがある種の同調圧力の象徴だと考えれば、その怖さは倍加する。
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