医工連携
合成ウイルスという新モダリティ
医工連携の実践者96 松浦和則 鳥取大学教授
2023年8月1日号
育ってしまったがんを免疫に排除させようとする場合は獲得免疫、なかでも細胞傷害性T細胞(CTL)に代表される細胞性免疫を働かせることが重要と考えられており、抗体などの液性免疫は補助的存在と見なされがちだ。ただし完全に脇役と決まったわけではなく、抗体が結合した細胞に直接アポトーシスを誘導することもある。その働きで有名なのが、HER2と結合するCH401mAb抗体だ。すでにエピトープも同定され、その部分だけ化学合成したCH401ペプチドをがん治療ワクチンとして使う試みも行われてきた。
このように化学合成したペプチドを抗原として用いるワクチン療法には、安価という大きなメリットがある。ただしペプチドだけでは自然免疫から獲得免疫への抗原情報受け渡しと獲得免疫活性化が起こらず、その連携を促すアジュバントが欠かせない。
このアジュバントとして面白...
育ってしまったがんを免疫に排除させようとする場合は獲得免疫、なかでも細胞傷害性T細胞(CTL)に代表される細胞性免疫を働かせることが重要と考えられており、抗体などの液性免疫は補助的存在と見なされがちだ。ただし完全に脇役と決まったわけではなく、抗体が結合した細胞に直接アポトーシスを誘導することもある。その働きで有名なのが、HER2と結合するCH401mAb抗体だ。すでにエピトープも同定され、その部分だけ化学合成したCH401ペプチドをがん治療ワクチンとして使う試みも行われてきた。
このように化学合成したペプチドを抗原として用いるワクチン療法には、安価という大きなメリットがある。ただしペプチドだけでは自然免疫から獲得免疫への抗原情報受け渡しと獲得免疫活性化が起こらず、その連携を促すアジュバントが欠かせない。
このアジュバントとして面白い
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