一筆入魂
私がなぜ、「尾﨑治夫」を書きたかったか
医師会幹部らしからぬ男の「揺らぐ反骨」を出版したわけ
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2023年8月1日号
ひとりの人物に焦点を当てて1冊の本を執筆するのは、私にとって困難を極めた。
生の声を聞き続け、立ち振る舞いや言動を観察しても、その人物の奥底にある意図は本人でもない限りわからない。事実を書き連ねても、つまりは私の個人的な“評価”となる。だから、その責任は評価を下した私がすべて負うことになるからだ。
拙著『揺らぐ反骨 東京都医師会長とコロナ 尾﨑治夫』の物語は、そんな私が、尾﨑を「書きたい」と思った経緯から始まる。
私が尾﨑を初めて見かけたのは、今から12年も前のことになる。胸をそっくり返した尊大な振る舞いは、いかにも偉そうだ。日本医師会特有の傲慢さを体現している人物に思えた。
その尾崎と再会したのは、20年3月、彼は新型コロナウイルス禍で奮戦する東京都医会長になっていた。将来は日医...
ひとりの人物に焦点を当てて1冊の本を執筆するのは、私にとって困難を極めた。
生の声を聞き続け、立ち振る舞いや言動を観察しても、その人物の奥底にある意図は本人でもない限りわからない。事実を書き連ねても、つまりは私の個人的な“評価”となる。だから、その責任は評価を下した私がすべて負うことになるからだ。
拙著『揺らぐ反骨 東京都医師会長とコロナ 尾﨑治夫』の物語は、そんな私が、尾﨑を「書きたい」と思った経緯から始まる。
私が尾﨑を初めて見かけたのは、今から12年も前のことになる。胸をそっくり返した尊大な振る舞いは、いかにも偉そうだ。日本医師会特有の傲慢さを体現している人物に思えた。
その尾崎と再会したのは、20年3月、彼は新型コロナウイルス禍で奮戦する東京都医会長になっていた。将来は日医会
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