蔓延する「三代」世襲経営とその弊害
「門閥制度は親の敵」の時代から学ばなかった今
2023年8月15日号
「売り家と唐様で書く三代目」とは、江戸時代の詠み人知らずの川柳とされているが、作者もまさか、21世紀まで著聞するとは想像しなかったに違いない。青木理著『安倍三代』では、先の戦争中に反戦を唱え、清廉潔白な人格者としても知られた政治家・安倍寛、並びにその長男で政界のプリンスと呼ばれたものの、志半ばで斃れた安倍晋太郎と比べ、「悲しいまでに凡庸」だった安倍晋三がなぜ、日本政治の頂点に長年君臨できたのかを関係者の証言を元に迫っている。
同書で青木は、周辺取材を重ねるに連れ、この三代目が「薄気味悪いほど空疎」な人物という印象が強まっていくことに、戸惑いを隠さない。そのうえで、政治が家業化し、本来は開かれているべき「政治身分」が固定化される結果、階層格差が社会に拡がり、「政治や社会から活力や多様性が失われる」と世襲の弊害を指摘した。
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「売り家と唐様で書く三代目」とは、江戸時代の詠み人知らずの川柳とされているが、作者もまさか、21世紀まで著聞するとは想像しなかったに違いない。青木理著『安倍三代』では、先の戦争中に反戦を唱え、清廉潔白な人格者としても知られた政治家・安倍寛、並びにその長男で政界のプリンスと呼ばれたものの、志半ばで斃れた安倍晋太郎と比べ、「悲しいまでに凡庸」だった安倍晋三がなぜ、日本政治の頂点に長年君臨できたのかを関係者の証言を元に迫っている。
同書で青木は、周辺取材を重ねるに連れ、この三代目が「薄気味悪いほど空疎」な人物という印象が強まっていくことに、戸惑いを隠さない。そのうえで、政治が家業化し、本来は開かれているべき「政治身分」が固定化される結果、階層格差が社会に拡がり、「政治や社会から活力や多様性が失われる」と世襲の弊害を指摘した。
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