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医工連携

膵がんモデルハエで薬候補発見

医工連携の実践者97 園下将大 北海道大学教授

2023年8月15日号

 釈迦に説法で恐縮だが、産業としての創薬は、基盤となる知財の権利保有期間が一定以上残っているうちに製造承認まで辿り着くことが大切だ。つまり時間の制約が大きい。最終かつ最大の難所である治験の所要日数を考えると、動物実験までの前臨床試験段階に割ける時間は自ずと限られる。だが結果、有効性や安全性の見極めが甘い段階で治験へ移行せざるを得ず、それが失敗の原因になって、結局は創薬全体のコストを押し上げてしまっていないだろうか。  こんなことを考えたのは、6月の『Cancer Research』誌に掲載された論文がきっかけだった。膵がん患者で観察される4つの遺伝子変異を模倣した膵がんモデルショウジョウバエをつくったら過剰な細胞増殖や個体致死などが起き、このモデルハエを用いた網羅的な遺伝学的スクリーニングの結果、未知の治療標的として2種類のキナーゼ同定に成功、...  釈迦に説法で恐縮だが、産業としての創薬は、基盤となる知財の権利保有期間が一定以上残っているうちに製造承認まで辿り着くことが大切だ。つまり時間の制約が大きい。最終かつ最大の難所である治験の所要日数を考えると、動物実験までの前臨床試験段階に割ける時間は自ずと限られる。だが結果、有効性や安全性の見極めが甘い段階で治験へ移行せざるを得ず、それが失敗の原因になって、結局は創薬全体のコストを押し上げてしまっていないだろうか。  こんなことを考えたのは、6月の『Cancer Research』誌に掲載された論文がきっかけだった。膵がん患者で観察される4つの遺伝子変異を模倣した膵がんモデルショウジョウバエをつくったら過剰な細胞増殖や個体致死などが起き、このモデルハエを用いた網羅的な遺伝学的スクリーニングの結果、未知の治療標的として2種類のキナーゼ同定に成功、そ

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