薬のおカネを議論しよう
レカネマブにみるFDAの迅速承認と通常承認の違い
第96回
医療ガバナンス研究所医師 谷本哲也
2023年9月1日号
8月21日、エーザイ/バイオジェンのアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」(レケンビ点滴静注)が、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を通過した。このまま薬事分科会を経て正式承認され、中央社会保険医療協議会で保険適用が認められれば、年内に日本でも販売開始になる見込みだ。
本剤は米国食品医薬品局(FDA)より第Ⅱb相試験の結果に基づき1月6日に迅速承認、第Ⅲ相ランダム化比較Clarity AD試験の結果に基づき7月6日には世界初で通常承認を取得していた。毀誉褒貶が激しいFDAの迅速承認制度で、このようにトントン拍子で話が進むのは実に異例のことだ。
FDAの迅速承認制度は92年に導入され、代替エンドポイントで有効性が示唆された早期の段階で承認を与え、製造販売後に検証的臨床試験の結果で有効性・安全性を示すことができれば通常承認に切り替え、示...
8月21日、エーザイ/バイオジェンのアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」(レケンビ点滴静注)が、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を通過した。このまま薬事分科会を経て正式承認され、中央社会保険医療協議会で保険適用が認められれば、年内に日本でも販売開始になる見込みだ。
本剤は米国食品医薬品局(FDA)より第Ⅱb相試験の結果に基づき1月6日に迅速承認、第Ⅲ相ランダム化比較Clarity AD試験の結果に基づき7月6日には世界初で通常承認を取得していた。毀誉褒貶が激しいFDAの迅速承認制度で、このようにトントン拍子で話が進むのは実に異例のことだ。
FDAの迅速承認制度は92年に導入され、代替エンドポイントで有効性が示唆された早期の段階で承認を与え、製造販売後に検証的臨床試験の結果で有効性・安全性を示すことができれば通常承認に切り替え、示せ
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