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時流遡航

日々諸事遊考70

第310回 ─しばし随想の赴くままに 紫陽花の花びらへの想いを介し学術界を顧みる─

本田成親

2023年9月15日号

 まだ紫陽花の季節の名残が漂い、わが家の近辺の遊歩道や公園のあちこちにその残花が見かけられもした頃のことである。早朝の散歩の途中、鮮やかな青紫色や赤紫色をした球状の紫陽花の花序を眺めては、初夏も終わり夏本番も間近だなと思いつつあった。そんな折、公園の片隅でふと目にした紫陽花に近づいてしばし足を止め、まだ美しさをとどめるその花びらの一枚一枚にそっと指先で触れてみた。そのときのことなのだが、世の一隅で日々ささやかに生きる老体ならではの愚想が突然胸中に湧き上がってきたのである。  球状の花序を構成する無数の小さな花びらを見つめるうちに胸中深くに浮かんできたのは、この一個の丸く大きな花序を構成する花びらの数をかぞえたことのある人はいるのだろうかという想いだった。もしそんなことをしようとしたらとんでもない手間と時間が掛かる...  まだ紫陽花の季節の名残が漂い、わが家の近辺の遊歩道や公園のあちこちにその残花が見かけられもした頃のことである。早朝の散歩の途中、鮮やかな青紫色や赤紫色をした球状の紫陽花の花序を眺めては、初夏も終わり夏本番も間近だなと思いつつあった。そんな折、公園の片隅でふと目にした紫陽花に近づいてしばし足を止め、まだ美しさをとどめるその花びらの一枚一枚にそっと指先で触れてみた。そのときのことなのだが、世の一隅で日々ささやかに生きる老体ならではの愚想が突然胸中に湧き上がってきたのである。  球状の花序を構成する無数の小さな花びらを見つめるうちに胸中深くに浮かんできたのは、この一個の丸く大きな花序を構成する花びらの数をかぞえたことのある人はいるのだろうかという想いだった。もしそんなことをしようとしたらとんでもない手間と時間が掛かるから

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