米ＩＣＥＲ・デジタル技術の価値評価白書

間違いだらけのＨＴＡ

米ＩＣＥＲ・デジタル技術の価値評価白書

第99回

横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学　五十嵐中

2023年10月1日号

　米国の臨床・経済評価研究所（ICER組織）は9月20日、ピーターソン医療技術研究所（PHRI）と共同で、デジタル医療技術（Digital Health Technology、以下DHT）の価値評価の概要を公表した。FDA（米食品医薬品局）やIMDRF（国際医療機器規制当局フォーラム）は、既存の医療機器に完全に紐ついた状態のソフトウェアをSiMD（software IN medical device）、紐付きがなく、既存の医療機器とは独立に機能するソフトウェアをSaMD（Software AS medical device）と定義する。前者のSiMDは、通常の医療機器の評価の枠組みでも対応できるため、今回の文書は後者のSaMDのみを対象とする。　今回の文書は、DHTの価値評価に際し、通常の医薬品・医療機器と同じ評価基準やエビデンスの基準は当て嵌められないことを前提に出されたものである。DHTに特化した客観的な評価基準には、2つの目的がある。開発... 　米国の臨床・経済評価研究所（ICER組織）は9月20日、ピーターソン医療技術研究所（PHRI）と共同で、デジタル医療技術（Digital Health Technology、以下DHT）の価値評価の概要を公表した。FDA（米食品医薬品局）やIMDRF（国際医療機器規制当局フォーラム）は、既存の医療機器に完全に紐ついた状態のソフトウェアをSiMD（software IN medical device）、紐付きがなく、既存の医療機器とは独立に機能するソフトウェアをSaMD（Software AS medical device）と定義する。前者のSiMDは、通常の医療機器の評価の枠組みでも対応できるため、今回の文書は後者のSaMDのみを対象とする。　今回の文書は、DHTの価値評価に際し、通常の医薬品・医療機器と同じ評価基準やエビデンスの基準は当て嵌められないことを前提に出されたものである。DHTに特化した客観的な評価基準には、2つの目的がある。開発者

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