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家計簿目線の医療経済 コスパ患者学

エンパグリフロジンによるCV疾患抑制:「NNT=63」は信用できるか?

第29回

黒澤 恵

2023年10月1日号

 治療効率と薬剤費から薬剤治療の費用対効果を考える本連載、今回はSGLT2阻害薬で2番目の売上げを誇るエンパグリフロジン(ジャディアンス)を取り上げよう。  DPP―4阻害薬が血糖は下げるものの偽薬を上回る大血管症(心臓血管系[CV]重篤疾患)抑制作用が証明されていないのに対し、SGLT2阻害薬はそれらを抑制すると認識されている。しかし本連載27回で示したとおり、SGLT2阻害薬の売上げ首位を走るダパグリフロジン(フォシーガ)のCV疾患抑制作用は偽薬を上回らない。抑制しないのだ。ではエンパグリフロジンはどうか。  同薬のCV重篤疾患抑制作用エビデンスはEMPA―REG OUTCOMEという大規模無作為化試験だ[NEJM 2015;373:2117]。すでにCV疾患を持つ2型糖尿病患者約7000人が、それまでの血糖降下治療に加えエンパグリフロジンを追加する群と偽薬追加群に無作為割り付け...  治療効率と薬剤費から薬剤治療の費用対効果を考える本連載、今回はSGLT2阻害薬で2番目の売上げを誇るエンパグリフロジン(ジャディアンス)を取り上げよう。  DPP―4阻害薬が血糖は下げるものの偽薬を上回る大血管症(心臓血管系[CV]重篤疾患)抑制作用が証明されていないのに対し、SGLT2阻害薬はそれらを抑制すると認識されている。しかし本連載27回で示したとおり、SGLT2阻害薬の売上げ首位を走るダパグリフロジン(フォシーガ)のCV疾患抑制作用は偽薬を上回らない。抑制しないのだ。ではエンパグリフロジンはどうか。  同薬のCV重篤疾患抑制作用エビデンスはEMPA―REG OUTCOMEという大規模無作為化試験だ[NEJM 2015;373:2117]。すでにCV疾患を持つ2型糖尿病患者約7000人が、それまでの血糖降下治療に加えエンパグリフロジンを追加する群と偽薬追加群に無作為割り付けされ

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