コロナ禍における医療費の動向 | 医薬経済オンライン

医政羅針盤

コロナ禍における医療費の動向

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授　村上正泰

2023年10月15日号

　厚生労働省は9月1日に22年度の「概算医療費」を公表した。医療費の代表的な統計としては「国民医療費」があるが、概算医療費は国民医療費の約98％をカバーしている。概算医療費とは、レセプトに基づいて、医療保険・公費負担医療分の医療費を集計したものであり、労働災害保険や全額自費などの費用を含まないが、「速報値」として医療費の動向を把握することが可能である。ちなみに、現時点で国民医療費は20年度分までしか公表されていない。　22年度の概算医療費は46.0兆円であり、前年度比では4.0％の増加となった。21年度には前年度比で4.6％の増加となっており、2年連続で高い伸びを示している。こうした数字が出ると、報道には「過去最高更新」といった文字が躍るが、特殊事情がない限り、高齢化などによって医療費が増加し続けること自体は当然のことであり、あまり意... 　厚生労働省は9月1日に22年度の「概算医療費」を公表した。医療費の代表的な統計としては「国民医療費」があるが、概算医療費は国民医療費の約98％をカバーしている。概算医療費とは、レセプトに基づいて、医療保険・公費負担医療分の医療費を集計したものであり、労働災害保険や全額自費などの費用を含まないが、「速報値」として医療費の動向を把握することが可能である。ちなみに、現時点で国民医療費は20年度分までしか公表されていない。　22年度の概算医療費は46.0兆円であり、前年度比では4.0％の増加となった。21年度には前年度比で4.6％の増加となっており、2年連続で高い伸びを示している。こうした数字が出ると、報道には「過去最高更新」といった文字が躍るが、特殊事情がない限り、高齢化などによって医療費が増加し続けること自体は当然のことであり、あまり意味

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