技術革新と製薬企業の明日
交錯する「迷走と希望」
第155回 第4の免疫チェックポイント阻害剤は花開くか
宮田総研代表取締役 宮田満
2023年10月15日号
第4の免疫チェックポイント阻害剤開発が迷走している。
21世紀に入り、免疫チェックポイント阻害剤は彗星のように登場した。現在は、がん治療の「第4の柱」としてすでに医療現場で確立されている。ところが、現在まで上市されたのは、「抗CTLA―4抗体」や「抗PD―1抗体」、もしくはそのリガンドを阻害する「抗PD―L1抗体」、そして22年に米国で実用化を果たした「抗LAG3抗体」の3種類に過ぎないのである。
自然免疫系によって、がん細胞を異物として認識して貪食(体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用)。そのがん抗原をT細胞やB細胞という獲得免疫系に提示して、がん細胞を攻撃するという、私たちの体内で毎日がん細胞を駆逐している免疫システムのすべてのプロセスにわたって、少なくとも10数種の免疫チェックポイントがあることを基礎研究が解明し...
第4の免疫チェックポイント阻害剤開発が迷走している。
21世紀に入り、免疫チェックポイント阻害剤は彗星のように登場した。現在は、がん治療の「第4の柱」としてすでに医療現場で確立されている。ところが、現在まで上市されたのは、「抗CTLA―4抗体」や「抗PD―1抗体」、もしくはそのリガンドを阻害する「抗PD―L1抗体」、そして22年に米国で実用化を果たした「抗LAG3抗体」の3種類に過ぎないのである。
自然免疫系によって、がん細胞を異物として認識して貪食(体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用)。そのがん抗原をT細胞やB細胞という獲得免疫系に提示して、がん細胞を攻撃するという、私たちの体内で毎日がん細胞を駆逐している免疫システムのすべてのプロセスにわたって、少なくとも10数種の免疫チェックポイントがあることを基礎研究が解明してい
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