薬のおカネを議論しよう
米迅速承認制度が国内乳がん治療に及ぼす弊害とは
第99回
医療ガバナンス研究所医師 尾崎章彦
2023年10月15日号
米国食品医薬品局(FDA)が承認を撤回した薬剤が、国内では普通に利用されている︱︱。そう聞くと驚かれるかもしれないが、日本の乳がん診療では日常の光景だ。
ひとつが、転移再発乳がんに用いられるベバシズマブである。08年に米国で迅速承認され、11年9月には日本で通常承認されている。その後、米国では11年11月には明らかな延命効果がないとして承認が撤回されたが、日本では、現在まで承認撤回の動きはない。
もうひとつが、PDL1陽性の転移再発トリプルネガティブ乳がんに使われるアテゾリズマブである。19年3月に米国で迅速承認され、19年9月には日本で通常承認された。こちらも追試で延命効果が証明されなかったため、21年8月に米国で承認が撤回されたが、日本ではやはり撤回されていない。
しかも両薬剤は、承認撤回されていないどころか、日本の...
米国食品医薬品局(FDA)が承認を撤回した薬剤が、国内では普通に利用されている︱︱。そう聞くと驚かれるかもしれないが、日本の乳がん診療では日常の光景だ。
ひとつが、転移再発乳がんに用いられるベバシズマブである。08年に米国で迅速承認され、11年9月には日本で通常承認されている。その後、米国では11年11月には明らかな延命効果がないとして承認が撤回されたが、日本では、現在まで承認撤回の動きはない。
もうひとつが、PDL1陽性の転移再発トリプルネガティブ乳がんに使われるアテゾリズマブである。19年3月に米国で迅速承認され、19年9月には日本で通常承認された。こちらも追試で延命効果が証明されなかったため、21年8月に米国で承認が撤回されたが、日本ではやはり撤回されていない。
しかも両薬剤は、承認撤回されていないどころか、日本の乳が
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