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家計簿目線の医療経済 コスパ患者学

腎障害軽度の2型糖尿病に対するエンパ腎保護作用に「疑問符」

第30回

黒澤 恵

2023年10月15日号

 治療効率と薬剤費から費用対効果を検討する本連載、今回も引き続き血糖低下薬であるSGLT2阻害薬のエンパグリフロジン(ジャディアンス)を取り上げる。第29回で示したように心臓血管疾患を持つ2型糖尿病患者(高リスク)でさえ、この薬を6万5000円弱支払って(その他15万円弱は医療保険が負担)、約3年間飲み続けても、重篤な心臓血管系疾患を予防できるのは63人に1人だった。つまり残りの62人はこの薬を飲んでも飲まなくとも重篤心臓血管疾患を起こす確率は変わらない。加えてこの「63」という数字の信ぴょう性にも疑義が呈されていた。  だが、SGLT2阻害薬は、「腎保護」作用を期待して2型糖尿病患者に処方しているドクターも多いようだ。ダパグリフロジン(フォシーガ、9月15日号第28回)の場合、プライマリケアで診る典型的な2型糖尿病患者では、費用対効果がかなり悪くなる可能性が...  治療効率と薬剤費から費用対効果を検討する本連載、今回も引き続き血糖低下薬であるSGLT2阻害薬のエンパグリフロジン(ジャディアンス)を取り上げる。第29回で示したように心臓血管疾患を持つ2型糖尿病患者(高リスク)でさえ、この薬を6万5000円弱支払って(その他15万円弱は医療保険が負担)、約3年間飲み続けても、重篤な心臓血管系疾患を予防できるのは63人に1人だった。つまり残りの62人はこの薬を飲んでも飲まなくとも重篤心臓血管疾患を起こす確率は変わらない。加えてこの「63」という数字の信ぴょう性にも疑義が呈されていた。  だが、SGLT2阻害薬は、「腎保護」作用を期待して2型糖尿病患者に処方しているドクターも多いようだ。ダパグリフロジン(フォシーガ、9月15日号第28回)の場合、プライマリケアで診る典型的な2型糖尿病患者では、費用対効果がかなり悪くなる可能性があっ

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