読む医療ー医者が書いた本の斜め読みー
レカネマブ承認には落胆
第227回
大西一幸
2023年10月15日号
アルツハイマー病研究、失敗の構造
カール・ヘラップ
梶山あゆみ訳
みすず書房/2023年8月刊
邦訳がこのようなタイミングで刊行されると、著者のカール・ヘラップは思っていたのかどうかはわからない。しかし、冒頭に語られている「日本語版に寄せて」で彼は、「最近になって(本年7月)、2種類の『画期的な新薬』が発表された」として、米国食品医薬品局(FDA)が承認したアデュカヌマブとレカネマブに関して、「(自身の)落胆に追い打ちをかけた」ニュースだとの認識を強調している。本稿は21年に上梓されている。
レカネマブは日本でも9月25日に承認された。著者の「落胆」は、アルツハイマー病(AD)研究に関して、現実に世界的な主流である「アミロイドカスケード仮説」に異議を唱え続けている米国の神経生物学者の、最新のコメントとみることもできる。「日本語版に...
アルツハイマー病研究、失敗の構造
カール・ヘラップ
梶山あゆみ訳
みすず書房/2023年8月刊
邦訳がこのようなタイミングで刊行されると、著者のカール・ヘラップは思っていたのかどうかはわからない。しかし、冒頭に語られている「日本語版に寄せて」で彼は、「最近になって(本年7月)、2種類の『画期的な新薬』が発表された」として、米国食品医薬品局(FDA)が承認したアデュカヌマブとレカネマブに関して、「(自身の)落胆に追い打ちをかけた」ニュースだとの認識を強調している。本稿は21年に上梓されている。
レカネマブは日本でも9月25日に承認された。著者の「落胆」は、アルツハイマー病(AD)研究に関して、現実に世界的な主流である「アミロイドカスケード仮説」に異議を唱え続けている米国の神経生物学者の、最新のコメントとみることもできる。「日本語版に寄せ
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