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HFへのサクビトリル・バルサルタン:本当に「ファンタスティック」?

第31回

黒澤 恵

2023年11月1日号

 薬剤費と治療効率から費用対効果を考える本連載、今回は主に心不全治療薬として用いられている「サクビトリル・バルサルタン」(製品名=エンレスト)を取り上げる。22年度の売上げは約280億円と、成長中の薬剤である。現在、慢性心不全治療ではこの薬剤にSGLT2阻害薬とベータ遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を加えた4剤が「ファンタスティック・フォー」と呼ばれ[EHJ 2021;42:681]、日本でも基本的治療薬として位置付けられている。しかしサクビトリル・バルサルタンは本当に、日本人に「ファンタスティック」だろうか。以下に見るとおり、とてもそうとは思えない。  この薬が注目されたきっかけは、14年に報告された無作為化二重盲検試験「PARADIGM︱HF」である。全世界47ヵ国から左室機能低下心不全(HFrEF)患者を登録した同試験で、長年にわたり無敗のチャンピオンだっ...  薬剤費と治療効率から費用対効果を考える本連載、今回は主に心不全治療薬として用いられている「サクビトリル・バルサルタン」(製品名=エンレスト)を取り上げる。22年度の売上げは約280億円と、成長中の薬剤である。現在、慢性心不全治療ではこの薬剤にSGLT2阻害薬とベータ遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を加えた4剤が「ファンタスティック・フォー」と呼ばれ[EHJ 2021;42:681]、日本でも基本的治療薬として位置付けられている。しかしサクビトリル・バルサルタンは本当に、日本人に「ファンタスティック」だろうか。以下に見るとおり、とてもそうとは思えない。  この薬が注目されたきっかけは、14年に報告された無作為化二重盲検試験「PARADIGM︱HF」である。全世界47ヵ国から左室機能低下心不全(HFrEF)患者を登録した同試験で、長年にわたり無敗のチャンピオンだったAC

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