間違いだらけのHTA
ICER組織の新評価基準「より広汎な考慮」とは
第100回
横浜市立大学医学群健康社会医学ユニット東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中
2023年11月1日号
米国の臨床・経済評価研究所(ICER組織)は9月28日、通常のHTA(医療技術評価)機関の評価ガイドラインに相当する「Value assessment framework」(評価基準*)の改訂版を発表した。3年ごとをメドに改訂されており、今回もその一貫だ。
ICER組織のウェブセミナーでは、今回の改訂の肝として、①患者の参画、②衡平性を考慮したHTA、③より広汎な費用対効果評価――の3点が上げられた。この3点の中身を深掘りしてみたい。
まず、①「患者の参画」をみよう。諸外国の公式なHTA機関も、多種多様なかたちで患者参画の機会を提供しているが、ICER組織でも個別の薬剤の評価の開始から終了後まで、同様の枠組みを整備している。
特定の薬剤がICER組織の評価作成の対象となると、ICER組織から種々のステークホルダーに通知がなされる。通知対象となるステー...
米国の臨床・経済評価研究所(ICER組織)は9月28日、通常のHTA(医療技術評価)機関の評価ガイドラインに相当する「Value assessment framework」(評価基準*)の改訂版を発表した。3年ごとをメドに改訂されており、今回もその一貫だ。
ICER組織のウェブセミナーでは、今回の改訂の肝として、①患者の参画、②衡平性を考慮したHTA、③より広汎な費用対効果評価――の3点が上げられた。この3点の中身を深掘りしてみたい。
まず、①「患者の参画」をみよう。諸外国の公式なHTA機関も、多種多様なかたちで患者参画の機会を提供しているが、ICER組織でも個別の薬剤の評価の開始から終了後まで、同様の枠組みを整備している。
特定の薬剤がICER組織の評価作成の対象となると、ICER組織から種々のステークホルダーに通知がなされる。通知対象となるステーク
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