時流遡航
日々諸事遊考74
第314回 ─しばし随想の赴くままに 人間というものの宿命的本質について考える④─
本田成親
2023年11月15日号
人間というものの自立能力には限界があり、また相互依存性や他者依存性は本能的なもので不可避であることを思うと、しかるべき自立した人生の筋道など見えてきはしない。もしそうだとすれば、現実的な自らの生き方を考えるとき、いったいどんな人生路を辿るのが好ましいことになるのだろうか。絶対解のない問題だけに、何とも悩ましい限りではある。
社会心理学者で精神分析学の権威であったエーリッヒ・フロムには、『自由からの逃走(Escape from Freedom)』のほかにも、人間の心の深層を論じた『人間の心(The Heart of Man)』という有名な著作がある。彼はそのなかで人間の深層心理を論じるにあたり、バイオフェラスとネクロフェラスという究極の対照概念を定義し、個々の人間の精神はその両概念の間に位置し、どの程度どちら寄りになるべきかを模索しながら、生来、果てしない彷...
人間というものの自立能力には限界があり、また相互依存性や他者依存性は本能的なもので不可避であることを思うと、しかるべき自立した人生の筋道など見えてきはしない。もしそうだとすれば、現実的な自らの生き方を考えるとき、いったいどんな人生路を辿るのが好ましいことになるのだろうか。絶対解のない問題だけに、何とも悩ましい限りではある。
社会心理学者で精神分析学の権威であったエーリッヒ・フロムには、『自由からの逃走(Escape from Freedom)』のほかにも、人間の心の深層を論じた『人間の心(The Heart of Man)』という有名な著作がある。彼はそのなかで人間の深層心理を論じるにあたり、バイオフェラスとネクロフェラスという究極の対照概念を定義し、個々の人間の精神はその両概念の間に位置し、どの程度どちら寄りになるべきかを模索しながら、生来、果てしない彷徨の
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