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技術革新と製薬企業の明日

隠し玉「NXT007」の破壊力

第156回 血友病A治療市場を席巻する中外製薬

宮田総研代表取締役 宮田満

2023年11月15日号

 抗がん剤で日本の市場を席捲した中外製薬が、いつの間にか血友病Aの治療薬の世界的企業に変貌しつつある。今月、同社はその世界市場をさらに完全制覇することをめざして開発した「NXT007」の概要を発表した。これは、まさに究極のバイスペシフィック抗体(2抗原特異抗体)である。  中外製薬はすでに血友病Aの治療薬として「ヘムライブラ」(エミシズマブ)を発売している。同剤は順調に成長し、23年の売上高予想2389億円も上振れしそうな勢いだ。ただ、ヘムライブラにもアキレス腱がある。ヘムライブラを皮下注射しても、正常人の第Ⅷ因子と同じ血液凝固活性(トロンビン生成活性)100IY/Dlに到達しないからだ。これは重症の血友病A患者を軽症患者程度にする状態で、実際ヘムライブラを投与した2割の患者が出血による治療を受けていた。ヘムライブラだけでは完全に血友病A治療の市場を満...  抗がん剤で日本の市場を席捲した中外製薬が、いつの間にか血友病Aの治療薬の世界的企業に変貌しつつある。今月、同社はその世界市場をさらに完全制覇することをめざして開発した「NXT007」の概要を発表した。これは、まさに究極のバイスペシフィック抗体(2抗原特異抗体)である。  中外製薬はすでに血友病Aの治療薬として「ヘムライブラ」(エミシズマブ)を発売している。同剤は順調に成長し、23年の売上高予想2389億円も上振れしそうな勢いだ。ただ、ヘムライブラにもアキレス腱がある。ヘムライブラを皮下注射しても、正常人の第Ⅷ因子と同じ血液凝固活性(トロンビン生成活性)100IY/Dlに到達しないからだ。これは重症の血友病A患者を軽症患者程度にする状態で、実際ヘムライブラを投与した2割の患者が出血による治療を受けていた。ヘムライブラだけでは完全に血友病A治療の市場を満た

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