そこが知りたい はい、いでがわですが
生きるために「闘う」
がん患者団体活動の軌跡①プロローグ
ジャーナリスト 出河雅彦
2023年12月15日号
日本人の死因で最も多いのは「がん」である。この事実は、1981年から現在に至るまで変わりない。筆者が医療の取材を始めた30年前、がんはまだ「不治の病」のイメージが強かった。本当の病名は患者本人には告げないというのが、医療現場におけるごく普通の対応だった。
厚生省(当時)が90年に実施した保健福祉動向調査によると、医師が診察してがんを見つけたとき、「自分に知らせてほしい」とした人は、全体の58.0%(男性61.9%、女性54.4%)にとどまっていた(①)。また、同省ががん、虚血性心疾患、脳血管疾患で亡くなった人の介護をした家族を対象に94年に行った調査では、がんで亡くなった人が病名告知を受けていた割合は20.2%で、病名告知がされなかった患者の介護者の3人に2人が「知らせなくてよかった」と回答した(②)。
92年、国立がんセンター(現・国立が...
日本人の死因で最も多いのは「がん」である。この事実は、1981年から現在に至るまで変わりない。筆者が医療の取材を始めた30年前、がんはまだ「不治の病」のイメージが強かった。本当の病名は患者本人には告げないというのが、医療現場におけるごく普通の対応だった。
厚生省(当時)が90年に実施した保健福祉動向調査によると、医師が診察してがんを見つけたとき、「自分に知らせてほしい」とした人は、全体の58.0%(男性61.9%、女性54.4%)にとどまっていた(①)。また、同省ががん、虚血性心疾患、脳血管疾患で亡くなった人の介護をした家族を対象に94年に行った調査では、がんで亡くなった人が病名告知を受けていた割合は20.2%で、病名告知がされなかった患者の介護者の3人に2人が「知らせなくてよかった」と回答した(②)。
92年、国立がんセンター(現・国立がん研
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