家計簿目線の医療経済 コスパ患者学
2型DMへのオゼンピック。有効だがコスパと安全性は?
第34回
黒澤 恵
2023年12月15日号
診療報酬改定の議論が賑やかになってきた。しかし詰まるところ、限りある医療財源というパイの奪い合いである。国民医療費に薬剤費が占める「2割強」という数字が適正であるか、医療従事者は考えているだろうか。 治療効率と薬剤費から費用対効果(コスパ)を考える本連載、第33回で経口剤(「リベルサス」)を取り上げたセマグルチドの、今回は注射剤(「オゼンピック」)について検討したい。今やGLP-1受容体作動薬内の売上高は、セマグルチド経口剤に次ぐという。しかしそのセマグルチドの経口剤は重篤心臓血管系疾患を抑制しない。第33回で示したとおり、偽薬と差がないのだ。では注射剤はどうか。 同剤のエビデンスとしてよく取り上げられるのは「サステイン6」という無作為化試験である[NEJM 2016;375:1834]。対象は50歳以上で心腎疾患のある2型糖尿病患者、あるいは心臓血管系疾患リスクを...
診療報酬改定の議論が賑やかになってきた。しかし詰まるところ、限りある医療財源というパイの奪い合いである。国民医療費に薬剤費が占める「2割強」という数字が適正であるか、医療従事者は考えているだろうか。 治療効率と薬剤費から費用対効果(コスパ)を考える本連載、第33回で経口剤(「リベルサス」)を取り上げたセマグルチドの、今回は注射剤(「オゼンピック」)について検討したい。今やGLP-1受容体作動薬内の売上高は、セマグルチド経口剤に次ぐという。しかしそのセマグルチドの経口剤は重篤心臓血管系疾患を抑制しない。第33回で示したとおり、偽薬と差がないのだ。では注射剤はどうか。 同剤のエビデンスとしてよく取り上げられるのは「サステイン6」という無作為化試験である[NEJM 2016;375:1834]。対象は50歳以上で心腎疾患のある2型糖尿病患者、あるいは心臓血管系疾患リスクを持つ
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