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医工連携

筋肉老化の分子機構を発見

医工連携の実践者106 辰巳隆一 九州大学教授

2024年1月1日号

 若いうちの筋肉(骨格筋)は柔らかくて鍛えればどんどん太くなっていくのに、加齢とともに硬くなって(線維化して)鍛えてもなかなか太くならなくなる。また、加齢とともに速筋の割合が減って、動くスピードも鈍くなる。  私たちの誰もが自然の摂理と受け止めている現象だが、その背後には、どんな分子メカニズムが隠れているのだろう。  骨格筋が太くなるのは、筋線維の1本1本が太くなることと、筋線維の数が増えることの掛け算による。筋線維が太くなったり増えたりする際には、その周辺に存在する骨格筋衛星細胞(未分化のいわゆる幹細胞)が活性化、増殖・分化して既存の筋線維と融合したり、新しい筋線維を形成したりする。つまり骨格筋衛星細胞の活性化が必須だ。  そして骨格筋衛星細胞が活性化するのは、細胞周囲に予め保持されている肝細胞増殖因子(...  若いうちの筋肉(骨格筋)は柔らかくて鍛えればどんどん太くなっていくのに、加齢とともに硬くなって(線維化して)鍛えてもなかなか太くならなくなる。また、加齢とともに速筋の割合が減って、動くスピードも鈍くなる。  私たちの誰もが自然の摂理と受け止めている現象だが、その背後には、どんな分子メカニズムが隠れているのだろう。  骨格筋が太くなるのは、筋線維の1本1本が太くなることと、筋線維の数が増えることの掛け算による。筋線維が太くなったり増えたりする際には、その周辺に存在する骨格筋衛星細胞(未分化のいわゆる幹細胞)が活性化、増殖・分化して既存の筋線維と融合したり、新しい筋線維を形成したりする。つまり骨格筋衛星細胞の活性化が必須だ。  そして骨格筋衛星細胞が活性化するのは、細胞周囲に予め保持されている肝細胞増殖因子(HGF

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