健康保険はじめて物語
被保険者証のはじめて(その2)
第2回
フリーライター・早川幸子
2024年1月1日号
1926(大正15)年11月、翌年1月に迫った健康保険法の全面施行を前に、適用対象の工場や炭鉱で働く労働者に対して、「被保険者証」が公布された。日本初の被保険者証は、縦15センチ、横10センチのA6サイズで、厚紙を二つ折りにしたものだった(「第1回」23年12月1日号参照)。
第一面には氏名や住所などの資格情報が、第二~第三面には診療内容を記す欄が設けられており、第四面には利用方法や罰則などの注意事項が記されていた。注目したいのが、第四面の文章の漢字すべてにルビがふられていたことだ。これは、健康保険の適用者の中に、漢字の読み書きができない人が相当数含まれていたことを物語っている。なぜなら、健康保険法は、工場の職工や、炭鉱の抗夫の福祉を向上させることで、頻発していた労働争議を防ぐことを目的に制定されたからだ。
明治維新以降、日本は近...
1926(大正15)年11月、翌年1月に迫った健康保険法の全面施行を前に、適用対象の工場や炭鉱で働く労働者に対して、「被保険者証」が公布された。日本初の被保険者証は、縦15センチ、横10センチのA6サイズで、厚紙を二つ折りにしたものだった(「第1回」23年12月1日号参照)。
第一面には氏名や住所などの資格情報が、第二~第三面には診療内容を記す欄が設けられており、第四面には利用方法や罰則などの注意事項が記されていた。注目したいのが、第四面の文章の漢字すべてにルビがふられていたことだ。これは、健康保険の適用者の中に、漢字の読み書きができない人が相当数含まれていたことを物語っている。なぜなら、健康保険法は、工場の職工や、炭鉱の抗夫の福祉を向上させることで、頻発していた労働争議を防ぐことを目的に制定されたからだ。
明治維新以降、日本は近代
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